『少年H』が生きた時代

 去年の夏だったか、テレビで『少年H』の映画を放映していました。テレビの放送を観て、是非この小説読んでみたいと思いながらやっと手に入れ読み終わりました。
 作者の妹尾河童さんの子供時代のことを書いた小説です。妹尾さんは、ちょうど私の母と同じ年くらいで、父より5歳くらい下です。小学生から旧制中学の生徒の時代に戦争を体験されています。戦時中の日本の庶民の生活が妹尾さんの目を通して描かれていました。子供の目といっても戦争の末期には中学生です。それなりに時局に不安や苛立ちも感じていたのがよくわかります。
 個々の人間にとって、この戦争は一体何なのか・・・・と疑問も持つわけですが、それが言えない。常に新聞は大本営の嘘を書きたてる。何で戦争止められなかったのかと、今だから言えるのでしょうが・・・お互いに監視されていたんですね。
 その戦争が終わって、日本の多くの人々は「もう二度と戦争はしまい」と誓い合い大きな希望をもって少年Hは生きていこうとするというところで終わります。
 そうでした。私が高校生のころまで、多くの先生方は戦争体験者でした。戦争の愚かさや逃げ惑った日々のことを聞かせてくれました。平和憲法についても学んだ。日本は様々な国際問題も話し合いで解決していくのだと学びました。
 でも、どうも様子がおかしくなって来ましたね。アメリカの議会で高らかに日本の議会を無視して集団的自衛権で同盟関係を強化するとか言ってましたね。アメリカの戦争に巻き込まれることは無いと言うけど、アメリカが攻撃され日本に影響があると判断すれば、日本が攻撃されなくても軍事行動をすることになるのですよね。これって、アメリカが起こした戦争に巻き込まれているってことでしょ。
 少年Hの時代と違って、今は民主主義の国です。これも、少し怪しくなってきていますが・・・世論調査などを見ても、国民は平和憲法を変えようとか、戦争に巻き込まれることに危惧しているということが分かります。
 小選挙区制で多数を占めた党が何でもやっていい、それが国民の意志だというのはおかしなことです。国会は、様々な国民の声を反映させ話し合い良い法律を作るところです。まるで、小学校の学級会で学級委員長に選ばれた子が人の意見も聞かずに自由気ままにやっているように感じます。
 この国会の論戦を見守り抗議すべき時にはちゃんと声を上げていかなければならないですね。「祖父ちゃんたちは何でなんもせんかったと」と言われないようにねグッド

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