日本人の骨盤の傾き

 以前テレビで放送された、日テレ系の『世界一受けたい授業』で、「臀筋を鍛える」というテーマでの講義がありました。
 その時に、近畿大学の先生が骨盤の傾きの話をされていましたが、西洋人は(西洋人に限らず中国の方々などもそうなんですが)骨盤が前に倒れているが日本人は後ろに倒れているということでした。日本人は骨盤後傾のために臀筋が発達しないので加齢で歩けなくなる可能性が高い、椅子から立ち上がるスクワットで鍛えようというのが大まかな授業の内容でした。
 しかし、日本人は骨盤の位置が外国の方々と違っている、これを矯正しなければならないとか、臀筋を鍛えなければという結論に結びつけるのは????と思うのですが(+o+)
 何故骨盤の傾きが違うのかということですが、これは長い生活習慣のせいなんです。畳の文化や狭い入り組んだ土地での農耕での動きを作るのは西洋人と違った体の使い方をしていたということが原因です。だから、生活全般がこの骨盤の角度で作られる動きを反映していました。これが、日本人の文化を形作ってきたものです。
 江戸末期に日本に入った西洋の人々が写した侍や庶民の写真を見れば現代の日本人との姿勢の違いが目立ちます。自然な力まない姿勢に見えます。武人だからといって胸は張っていないのです。自然に全身が緩んでいるのです。
 明治時代に軍隊が作られた時に、胸を張っての「気を付け」や大きな歩幅での行軍などの動きが取り入れられて、「良い姿勢」は西洋の軍隊の姿勢と決めつけられてしまったようです。みなさん、胸を張ってというのを自然にはできないですよね。私には胸を張ってというのはきつい姿勢です。しかし、西洋の人びとはこれは楽な姿勢なのです。現代人は写真に写る時には「良い姿勢」をしますので江戸末期の写真とは違って見えるんです。
 江戸末期の日本人の体力や身体能力が西洋人に劣っていたかというとそうではなかったんです。逆に彼らは日本人の体力に驚きの文章を残しています。それが、日本人が西洋式の身体の使い方を取り入れ始めてからは、日本人独特の力が発揮されずに身体の大きさの違いなどから西洋人に劣るとされているのです。
 骨盤の傾きは日常生活での違いからまだ残っているんですね。この骨盤の状況からすると、無理に胸を張ったり大股で歩いたりすれば身体に大きな負担がかかってしまうのです。これが、体調不良の原因にもなっている方もおられるのではないかと思います。
 現在、合気道や沖縄の空手などの身体操法には骨盤の後傾での身体操作が残っているようです。また、さまざまな方々が研究されておられますね。日本人に合った身体の動きは大きな力を発揮するようです。現在、私が空手などで追求しているのが、骨盤後傾からの動きを作ることです。
 日本人は「西洋人と比べて」という発想について大きな疑問を持ってしまいます。日本人が作り上げた文化や身体を西洋式のトレーニング理論から見てオカシイとしないで欲しいと思います。決して日本人の動きがオカシイことはなく優れているものだと私は思っています。
 臀筋が発達しないから、歩けなくなるという発想もちょいと疑問です。もう少し、自分の身体で試してみたいと思います。また、姿勢については深めて書き込みたいと思います。西洋人と日本人の身体の作り文化の違いで楽な姿勢が違うということを知っていることは大切ですね。
 
今日の『爽快さんがゆく』は「ナスは新しい芽が育っています」です。