納豆は・・・

 今週の『週刊朝日』と『週刊ポスト』に納豆についての記事が掲載されています。面白いことに『週刊ポスト』は納豆にさまざまな健康効果があるという記事ですが『週刊朝日』は、納豆の健康効果に対する疑問の記事です。
 『ポスト』の方の記事は、アメリカの研究機関で「ポリアミン」と「DHEA」の研究論文についての解説と、自治医科大学の早田邦康博士のポリアミンの代謝が活発になれば脂肪がたまりにくくなる(動物実験の段階)という見解、実験内容などを解説しています。須見洋行・倉敷芸術科学大学教授が発見されたナットーキナーゼの効用などを載せています。
 一方『朝日』の方は『あるある大辞典』の研究者の見解を説明し、その後に『ウソが9割 健康TV』の著者三好基晴氏・臨床環境医の『あるある』の実験に対する、8人のサンプルは少ない、他に運動したり食事制限したりの可能性が・・・との疑問を載せています。他にも納豆を食べるとご飯を食べ過ぎて太ってしまったとか、「全国納豆協同組合連合会」納豆PRセンターの緒方則之さんの納豆は薬でないから、納豆を食べるだけで痩せることはないなどの見解を乗せています。(効果があるとは言えないですね。いえば薬事法違反ですから)番組を製作した関西テレビにダイエット効果について聞いた回答について「“具体性”に乏しい、まさに番組ににつかわしくない答えだった。」と結んでいます。
 私の両誌を読んでの感想ですが、『週刊ポスト』の方は、痩せたという体験者の声も数人乗せているが、『週刊朝日』の方は、痩せなかった理由がなってないという気がします。取材の対象も、『週刊ポスト』の方は、ちゃんとした研究者の見解ですが、『週刊朝日』の方は『あるある』というテレビ番組への疑問が大きな比重を閉めています。納豆がダイエットに効果がないという研究者の見解がほしいところです。納豆は、日本が誇る健康食品であるということは、誰も否定の使用がないことだと思います。『あるある』の実験については、というより健康雑誌も含めてあまりにもデータが粗雑だとは思います。
 ところでです。納豆はいい、ココアはいい、○○は・・、○○は・・と食材を取り上げますが、こんな姿勢がいいかどうかも検討する時期に来ているのではないかと思います。それぞれの民族・部族・集落ごとに人間は食についての文化を育んできました。日本人の体は、日本の土地で取れる食材を元に作る食事・習慣に適するよう長い年月で作られたんです。
 南洋諸島は、昔からタロイモを主食としてとっていました。このタロイモというのはカロリーが少ない。それで、かなりの量を食べなければカロリーが不足します。それでここに生活する人達の胃は大きいんです。そこへアメリカ文化が入ってきました。パンやジュース・コーラを食事にしはじめた。もう想像がつきますね。胃が大きいから大量に食べなければ満足できない。カロリーオーバーになる。多くの人が肥満となる。成人病がはびこる。医療費に苦しめられる。こうなっているのです。
 日本人は、欧米人に比べ腸が長いといわれています。繊維質を取らなければならないようにできているのです。ここから食を考えていかなければならと思うんです。 
 エスキモーの人々や、モンゴルの人々は野菜は食べません。食べると体が冷えて病気になってしまう。それで土地で取れるものを上手に取る工夫を積み重ね、最も適したものを作りあげているのですね。
 私が子どもの頃、パンを食べると頭が良くなるという根も葉もない噂が流れていました。これは、アメリカの余剰小麦を日本に売りつける為に意図的に流したものだそうです。(『食卓の向こう側1』に出ています)このようにして崩されていった日本の食文化。その結果がさまざまな体の不調として現れ始めています。
 日本人に合った食事はこういうものだということが分からなくなってしまた。体調不良を多くの人が抱えている。それで、訳の分からない健康情報が撒き散らされてしまう気がします。基盤となる文化を守っていれば、これを更に発展させ豊かなものにしていけると思うのですが。納豆もこうした文化の中で捉えなおし、科学的な成果も付け加えながら豊かな食文化つくりを進めることが大切でしょう。
 西日本新聞の『食卓の向こう側』は、こうしたさまざまな食の問題を真正面から取り組んだ素晴らしい企画だったと思います。こうした今後の食文化の発展に役立つ記事を『週刊誌』にも望みたいと思いました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です