遊び感覚で得るもの

 時々、小学生で野球などをやっていて肩を痛めた。肘が痛いなどということで来られることがあります。何も体を壊すとこまでやら無くてもいいものを、と思ってしまいます。しかし、肩が楽になれば試合に出るから、それまでに動きを良くしたいということになります。こんなこと繰り返せば、肩の状態は悪化するばかりと思います。親の期待、スポーツ指導者の期待、本人の根性劇画を進歩の手本とする考え方など、色々なものが交じり合って「痛くても頑張りぬく」ということになるのでしょうか・・・。
 スポーツの指導者は、どう考えておられるのかとモヤモヤしていると、「スポーツ選手なら知っておきたい『からだ』のこと」(小田伸午 著・大修館書店刊)という本を見つけました。引用させていただきます。
 「小学生の時期にいちばん必要なことは、基本の動作や技を習得することです。つまり、運動神経系の働きを育てることが最重要であって、筋肉を強化したり、スタミナを鍛えたりすることは、もっと後になって行えばいいのです。遊びのなかだからこそ、抜く動作が出来ます。『力むよりも、抜いたほうが速い』という感覚は、理屈で覚えるのではなく、小学生の時期に遊び感覚で覚えるのがいちばんだと思います。」(p95)
[フランスでは、高校生段階までは全国大会はやらない方がいい、という国民共通の理解があるというのです。全国規模の大会があると、どうしてもチームを勝たせるために、コーチは、将来大きく伸びる基礎作り、つまり神経系がかかわる基本動作の修軸をおろそかにして、速効性のある筋肉作りとスタミナ作り、そして勝つ為の戦術訓練を強制してしまいます。
 これでは、そのときは試合に勝つことができても、その後の伸びが止まってしまうというのです。」(p96)
 スポーツ競技の種類にもよるでしょうが、体を壊すまでやらせることが本人の為になるという考えに問題は無いのでしょうか?
 この本の文章、子供たちへのスポーツ指導のあり方のヒントになるかも知れません。私は、こうした指導の専門家ではありませんが、子供たちの体のこと、今後の発育成長のことを考えると小田伸午氏の考え方は大切なことと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です