世界がもし1000人の村だったら

 「世界がもし100人の村だったら」は、多くのみなさんがご存知だと思います。
 この「世界が・・・」をつくったのはアメリカ人の環境学者ドネラ・メドウズという女性だということです。つくられた当初は「世界がもし1000人の村だったら」ということだった。これが、ネットを漂う間にさまざまな変化をしていったということです。
 私もネット上で「世界がもし100人の村だったら」を紹介してあるのを見つけました。その存在を聞いたことはありましたが、まだ全文を目にしたことの無かった私は喜んで読みました。読み終わって驚くことが有りました。最初の出だしの考え方と、終わりの文章の考え方がくい違っています。まるで、後進国(この表現がいいとは思いませんが)や戦争により生活が破壊されている人々の現実を見て、私たちの方が幸せだ、この幸せを大切にしようといわんばかりのものだったのです。
 娘が本を買っていたのを思い出し借りてみることにしました。娘に話をすると、それは、本の内容とも大きな開きがあるということでした。そして本の巻末に同じ文章が紹介されていると教えてくれました。
 「世界がもし1000人の村だったら」がネットを渡り歩く間にさまざま修正されていったようです。1000人が100人となっていったという数の変化だけではないようです。
 「100人」を読んで考え、さまざまな思いをめぐらせた方も多いことと思います。もし「1000人」を読んでおられないのなら是非「1000人」も読んでみてほしいと思います。ネットで調べた「1000人」の全文と、本になった「世界がもし100人の村だったら」(C.ダグラス・ラミス著 池田香代子訳)の終わりの部分も読んでみて下さい。
 今この地球上で同時代を生きる地球村の人間達の現実・・・。
 世界中の人びとが助け合えば、仲良く幸せに生活できる基礎的な力はあるのではないかと思います。何がたりなくて、また何があるために飢えや貧困がまだ存在するのか。この文章から見えてくるような気もします。
「もし世界が1000人の村だとしたら」
1990年5月31日号「世界市民」 ドネラ・メドウズ
村の状態のレポート 
もし世界が1000人の村だとしたら
584人がアジア人
123人がアフリカ人
95人が東西ヨーロッパ人
84人がラテンアメリカ人
55人がソビエト人(とりあえずリトアニア・ラトヴィア・エストニアなどを含む)
52人が北アメリカ人
6人がオーストラリア人とニュージーランド人
村の人々の意思疎通はかなり困難だ。
165人が中国普通話を話す
86人が英語を話す
83人がヒンディー語かウルドゥー語
64人がスペイン語
58人がロシア語
37人がアラビア語
このリストでは村の半分の人の母国語しか載っていない。残りの半分は(多い順に)ベンガル語、ポルトガル語、インドネシア語、日本語、ドイツ語、フランス語、その他200語が話されている。
その村のうち・・・・
300人がキリスト教徒(183人がカトリック、84人がプロテスタント、33人が正教会)
175人がイスラム教徒
128人がヒンドゥー教徒
55人が仏教徒47人がアニミスト
210人が残りの宗教(無心論者を含む)
村の3分の1(330人)は子供。子供達の半分だけが、はしかや小児まひのような予防可能な伝染病に対して免疫がある。
1000人の村人のうち60人が65歳以上。既婚女性の半分以下しか、近代的な避妊具を入手・使用できない。
毎年28人の赤ん坊が生まれる。
毎年10人が死に、そのうち3人が食糧不足で、1人ががんで死ぬ。死者のうち2人は生まれて1年以内の赤ん坊だ。
村の1人はHIVウイルスに感染している。その人はまだエイズの末期症状にまで至っていないだろう。
28人が出生し、10人が死亡するので、翌年の村の人口は1018人になる。
この1000人の共同体で、200人が収入の4分の3を手にしている。別の200人は収入の2%しか手にしない。70人だけが自動車を持っている(そのうち数人は複数の車を持っている)。
約3分の1の人は、きれいで安全な飲み水を入手できない。
村の670人の成人のうち、2分の1が文盲。
村は一人あたり6エーカー(2.4ヘクタール)の土地を持っている。全部で6000エーカー(2400ヘクタール)の土地のうち、
700エーカー(280ヘクタール)が耕作地
1400エーカー(560ヘクタール)が牧草地
1900エーカー(760ヘクタール)が森林地帯
2000エーカー(800ヘクタール)が砂漠、ツンドラ、舗装その他の不毛地帯
森林地帯は急速に減少している。不毛地帯は増えている。残りの土地分類はおおむね安定している。
村の肥料の83%を耕作地の40%に投入するーそれは最も豊かで最もよく食べ手いる人たちが所有している。この土地から流れサル過大な肥料が湖と井戸に汚染を起こす。
肥料の残りの17%を割り当てられた60%の残りの土地は、穀物の28%を生産し、73%の人々を養うことになる。その土地の上の平均穀物産出は、金持ちの村人たちが得た産出量の3分の1である。
もし世界が10000人の村であったなら、5人の軍人、7人の教師、1人の医者がいるだろう。毎年300万ドル以上の村の歳出予算のうち、18万1000ドルが武器と戦争に、15万9000ドルが教育に、13万2000ドルが健康管理に使われている。
 村はその地下に、村を何度も吹き飛ばしてしまうのに十分な破壊力を持つ核兵器を埋めている。これらの武器は丁度100人の制御下にある。他の900人は、その100人がうまくやっていけるかどうか、もしうまくやっていったとしても、その武器を不注意や技術的失敗で爆発させないかどうか、また武器を廃棄することに決まったとしても、その兵器から生まれる危険な放射性物質を村のどこで処分するのかを心配して、深い不安を抱いて眺めている。
「世界がもし100人の村だったら」(ドネラ・メドウズ著)より
まずあなたが
愛してください
あなた自身と、人が
この村に生きてある
ということを
もしもたくさんのわたし・たちが
この村を愛することを知ったなら
まだ間にあいます
人びとを引き裂いている非道な力から
この村を救えます
きっと

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