日本人的身体操法
先日、テレビで放映された『隠し剣 鬼の爪』(山田洋次監督)を見ていて面白い場面を見つけました。
主人公たち侍が、イギリス式の軍隊の行進を練習する時のことです。右足を出した時には左手を大きく振るということを江戸から来た教官に教わるという場面です。ご覧になった方も多いことでしょう。
みなさん不思議ではありませんか。今では、このように歩くのが普通で運動会などの行進で手を振らない子や右足右手を同時に出すものは可笑しいと注意されますね。でも、この侍さんたちは、非常に動き辛いようです。
江戸時代まで、日本人には手を大きく振って歩くという習慣は無かったといいます。武士は着物に帯刀では手は振れない。振れば着物は乱れてしまうということです。それにあわせた歩きが出来上がっていたようです。そして、庶民もあまり走ることは無かったそうです。でも走りを職業とした飛脚などは、この身体操法を利用して長距離を短時間ではしっていたといいます。
このような身体操作の習慣を前提に日本の武術をはじめ舞踊、礼法まで作りあげられていたということです。これを「ナンバ」と呼び武術家や剣道の研究者などが研究されています。日本的な動きは明らかに西洋式の体の動きと違っていたんですね。明治以降の日本人の動きというものは、それ以前の日本人の動きに西洋的なものを取り入れていって作られたということのようですね。
映画を見ながらこの変化の大きさを感じました。日本的動きに大きな興味を覚え色々調べています。私が少し体験したことのある流派の柔術の技・身体操作はナンバの動きそのものですし、その理解が力を必要とせず相手を倒すということに繋がります。そして体の連動に関しては操体法の基本運動に繋がっているようです。更に、勉強してみたいですね。